ふるさと納税の合計金額は、「税金控除の上限額(限度額)」以内におさめておくのがベスト。
ふるさと納税の限度額は、年収や家族構成(=扶養してる家族の数)、各種控除の有無によって決まります。
それはわかっていても、予想していたよりも年収が低かったり、勘違いから、限度額を大きく超えてしまうこともあるでしょう。
ふるさと納税は、本来、2,000円の負担のみで、日本各地の市町村から贅沢な名産品をいただくことができますが、仮に寄付の総額が限度額を超えてしまえば、負担額は2,000円ではおさまりません。
かといって、超えた部分が全額自己負担になるわけでもありませんよ。
もちろん、限度額を超えないことがベストですが、万一超えてしまった場合は、ダメージを極力減らしましょう。
ふるさと納税をやりすぎたかも?限度額を超えたらどうなる?全額自己負担?
ふるさと納税を申し込んでから、返礼品が届くまでに2ヶ月ほどかかることがありますが、到着を待っている間に限度額を超えていることが判明しても、残念ながらキャンセルはできません。
ただし、限度額50,000円の人が、うっかり60,000万円分のふるさと納税をしてしまっても、12,000円全額が自己負担にはなることはなく、実際はもっと少なくなります。
会社員なら、12月のお給料日頃に源泉徴収票をもらえることが多いですが、源泉徴収票の「支払金額」という箇所が、ふるさと納税の限度額に深く関係する「年収」になります。
「年収」とは、1月1日から12月31日までに勤務先が支払う「給与収入の総支給額」で、社会保険料や税金等が引かれる前の金額になります。交通費やお祝い金などは含まれていません。
この年収をもとに、ふるさと納税のポータブルサイトに用意されているシミュレーションで、正式な限度額を調べてみましょう。
それでは、具体的に見ていきましょう!
ふるさと納税の限度額を超えたら大損害?その場合は、ワンストップより確定申告がおすすめなの?
会社員の場合、ワンストップ特例制度を利用しようが、確定申告を利用しようが、限度額(税金控除額の上限)は同じになりますが、超過分については確定申告の方が負担が少なくなります。
なぜなら、ワンストップ特例制度を利用する場合は、すべて住民税からの控除(一律10%固定)になりますが、確定申告の場合は、まずは所得税(5~45%)から還付され、還付できなかった部分を住民税で控除するためです。
たとえば限度額を10,000円超えてしまった場合、固定負担額の2,000円から、どれくらい負担が増えるのでしょうか?
課税所得 | 税率 | 確定申告 | ワンストップ |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 8,490円 | 9,000円 |
~330万円以下 | 10% | 7,980円 | 9,000円 |
~695万円以下 | 20% | 6,960円 | 9,000円 |
~900万円以下 | 23% | 6,650円 | 9,000円 |
~1,800万以下 | 33% | 5,630円 | 9,000円 |
「課税所得」とは、年収から必要経費を引き(=所得)、所得からさらに所得控除(配偶者控除など)を引いた金額です。
たとえば「課税所得」が400万円の場合、限度額を10,000円超えれば、ワンストップなら自己負担額が11,000円、確定申告なら8,960円になります。※ それぞれ2,000円加算後の金額
確定申告をすれば、それまでにおこなったワンストップ特例制度の手続きはすべて自動で無効になります。各自治体への連絡は不要です。
さらに、ふるさと納税をおこった年から5年以内に確定申告をすれば控除できます。
たとえ限度額を超えたとしても、寄付額の30%以下の返礼品はもらえるし、全額自己負担というわけではないし、「大損害」とまではいえないでしょうね。
ふるさと納税をやりすぎたかも?それは翌年6月に判明!
ふるさと納税をした後に確定申告をすれば、翌年の4月か5月頃に所得税の還付と、翌年の6月から1年かけて住民税の控除があり、ワンストップ特例制度を利用すれば住民税の控除があります。
確定申告でもワンストップ特例制度でも、同じ金額の控除となるので、会社員なら手軽で簡単なワンストップの方をおすすめします。
毎年6月頃に会社または自宅に届く「住民税決定通知書(自治体によって多少名称が異なる)」で、前年におこなったふるさと納税の税額控除の確認がですます。
ふるさと納税で「ワンストップ特例制度」を利用した場合の確認方法
確定申告とは違い、ワンストップ特例制度は所得税の還付はなく、住民税の控除のみになります。
そのかわり、確定申告で還付される所得税と同額の「申告特例控除(=ワンストップ特例控除)」があります。
つまり、ワンストップ特例制度を利用しようが、確定申告を利用しようが、控除される税金の金額は同じということです。
住民税決定通知書の確認方法(ワンストップ特例制度)
- 「住民税決定通知書」の摘要欄に記載されている市民税と県民税の額を足す(A)
- ふるさと納税で寄付した額から自己負担分2,000円引いた金額(B)と(A)が一致すれば問題なく控除されている
住民税決定通知書の摘要欄に寄付金税額控除額(市民税+県民税)の記載があれば、あなたがふるさと納税した額から自己負担額(2,000円)を引いた金額と比較ください。
摘要欄に記載がないときは、市町村と道府県欄に記載の税額控除額を足してください。
(A)と(B)は同じ額になるか、調整控除額分の誤差が出ます。
調整控除額は多くの場合、2,500円〜5,000円程度となります。
数万単位で超えている場合は、限度額を超えてふるさと納税をしてしまった可能性が大です。
気になる場合は、税務署に確認してください。
ふるさと納税で「確定申告」をした場合
確定申告をした人には4月か5月頃に、所得税の還付があります。
所得税は確定申告をした際に申請した銀行口座に戻ってきます。
ちなみに還付される所得税の額は、(ふるさと納税した額-自己負担金2,000円)×(所得税率×復興特別所得税率1.021)となります。
所得税率は、年収によってかなり差があり5〜45%です。
還付される所得税は、総所得金額等の40%が上限で、復興特別所得税は令和19年まで必要です。
さらに6月から1年かけて住民税が控除されます。
住民税決定通知書の確認方法(確定申告)
- 「住民税決定通知書」の摘要欄に記載されている市民税と県民税の額を足す(A)
- 確定申告によって還付された所得税(C)の額を計算(「(寄附金額-自己負担分2,000円)」×所得税率×1.021)または(C )の額を通帳で確認
- 所得税の還付額(C)と住民税の控除額(A)を足した金額とふるさと納税で寄付した額から自己負担分2,000円引いた金額(B)が一致すれば問題なく控除されている。
摘要欄に記載がない場合は、ワンストップ特例申請の説明を参照してください。
ふるさと納税、限度額より少ない場合は?
ふるさと納税が限度額を超えてしまった場合は、損になる場合がほとんどですが、限度額より少ない場合は、自己負担額は2,000円におさまり、なんら問題はありません。
ただし、返礼品の値段は仕入れ値ベースで寄付金の30%以内です。つまり、7,000円、8,000円ほどのふるさと納税なら、自己負担金の2,000円と手間だけがかかります。
せっかくなので、限度額いっぱい楽しみましょう。
会社員が源泉徴収票をもらえる12月は在庫切れも多いですが、キャンペーンや限定品も登場する月です。
なお、5,000円以下のふるさと納税や被災地へのふるさと納税は返礼品がないことが多く、住民票を置く市町村に寄付しても返礼品はありません。
ふるさと納税はやるべきか?
ふるさと納税では、勤務先が突然倒産するような不測の事態以外は、そこまで大きな損害は生じません。
春夏秋冬で、計画的に旬のお野菜やフルーツをゲットしていきましょう。
会社員は12月に年収が確定するので、最後の1回は、年末の楽しみに残しておきましょう。