今回は、大阪府高槻市にある「神峯山寺」の楽しみ方をご紹介します。読み方は「かぶざんじ」。大阪の中心地からわずか2時間弱で到着する霊場(パワースポット)です。
「神峯山寺秘密縁起」によると、神峯山寺は、697(文武天皇元)年に役小角(えん の おづぬ/役行者)が開山し、774年(宝亀5)年、光仁天皇の命により、子息である開成皇子(かいじょうおうじ)が創建したお寺で、開成皇子が初代住職を務めたと伝わっています。
取材は、2020年4月5日ですが、11月29日と12月27日に撮影した写真を追加しています。
パワースポット・『神峯山寺(かぶざんじ)』とは?
「神峯山寺(かぶざんじ)」は、大阪府の北部、高槻市にある天台宗のお寺です。日本で初めて毘沙門天が安置されたと伝わっています。
御本尊は、毘沙門天、双身毘沙門天(そうじんびしゃもんてん)、兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)の3体。
いずれも秘仏ですが、兜跋毘沙門天は、毎年11月23日に行われる「秋の大祭」で開帳されます。
また、重要文化財の阿弥陀如来坐像、聖観世音菩薩、開成皇子像などの「拝仏」と密教作法に基づく「祈願法要」、さらにお坊さんのお話を聞きながら、「お茶とお茶菓子」をいただくことができます。
こちらは、電話かインターネットでの事前予約制で、所要時間は1時間。1人2,000円となっています。
そして神峯山寺は、大阪屈指の紅葉の名所でもあり、11月中旬から12月上旬にかけて、境内にある400本もの紅葉がいっせいに色づきます。
名称 | 日本最初毘沙門天 根本山 神峯山寺 寶塔院 |
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住所 | 大阪府高槻市原3301-1 |
電話番号 | 072-688-0788 |
拝観時間 | 9:00~17:00(冬季は16:00まで) |
拝観料 | 無料(もみじのシーズンは300円)・拝仏(事前予約制)2,000円 |
公式サイト | http://kabusan.or.jp/ |
「神峯山寺」の境内
①本堂 ②釈迦堂 ③開山堂 ④観音堂 ⑤鐘楼堂 ⑥九頭龍滝・九頭龍神堂 ⑦白龍王社 ⑧化城院 ⑨嶺峰院 ⑩真珠院 ⑪宝塔院(本坊・納経所) ⑫トイレ
「原立石)」のバス停からのアクセス
「神峯山寺」の最寄りのバス停は「神峯山寺口」ですが、ハイキングを楽しみたい人は、「原立石」で下車するのがおすすめです。
ここ「“原”地区」は、昔から寒天の産地であり、最近では「濁酒(どぶろく)・原いっぱい」で村おこしをしています。
このユニークな形のバス停留所は、寒天作りの桶と濁酒の酒桶をイメージしたもの。杉の間伐材を利用して、地元のボランティアさんたちが建てたそうです。
JR高槻駅方面から来られた場合は、写真の停留所の道を挟んで向かい側で降りることになります。
少し難しいJR高槻駅北から出るバス
「神峯山寺口」と「原立石」に停車するバスは、いずれも「JR高槻駅北(阪急百貨店側)」から運行するバスで、(1)53・原大橋行き(のりば番号1) (2)60・田能行き/61・中畑回転場行き/62・二料行き/63・杉尾行き(のりば番号2)です。
のりば番号1には「54・上の口行き」のバスが頻繁にくるのですが、「上の口」は「原立石」の一つ手前のバス停になります。
ただし、間違って「上の口行き」に乗ってしまったとしても、「上の口」バス停下車後、そのまま進行方向に6~7分ほど進めば、「原立石」のバス停に到着しますので、ご心配なく。
JR高槻駅前からのバスの運賃は大人230円(2020年4月現在)です。
交通系の各種ICカードが使えますが、車内で1万円札の両替はできませんので、ご注意ください。
「原大橋」行きのバスは、1時間に2~3本です。ちなみに「上の口」行きは、1時間に5~7本あります。その他の「田能や杉尾」行きは、2~3時間に1本程度しかありません。
原立石でバスを降りると、道が二つ(広い方の道は『枚方亀岡線(府道6号線)』)に分かれていますので、細い方の道を進みます。
ごくまれに自動車が通りますが、細いながらもアスファルト舗装されていて、とても快適です。
はるか向こうに「新名神高速道路」が見えます。※ 神峯山寺の看板の真下。
JR高槻駅からバスでわずか20分程度ですが、のどかな田園風景が楽しめます。道沿いには地元の農家さんが作った安心安全な野菜の無人販売もあります。
小道をどんどん進んでいくと、目の前に広い車道が登場。左①は枚方亀岡線(バス通り・府道6号線)と交わります。
右②をしばらく進み、ひとつ目の道を左折すると神峯山寺の無料駐車場に到着します。
車を利用して神峯山寺に行く場合は、①から②の坂を上り、左に曲がることになります。最初の地図をご確認ください。
鳥居の入り口にある珍しい牛地蔵
再び、徒歩の説明に戻ると、目の前の大きな道を渡ると、参道の入り口右手に「牛地蔵」があります。
牛地蔵の正式名称は、「京坂帰牛(きょうざかのきぎゅう)」。
1833(天保4)年、牛地蔵は、「京坂越」の重い荷物を運ぶ牛をねぎらって、地元の人々により祀られたと伝わっています。
江戸時代は、亀岡(京都)から、「原」を経由して、淀川(大阪)へと荷物を運んでいました。
原からも特産品の寒天や薪炭(しんたん)を大阪へと運んでいたのですが、この周辺が「京坂越」とよばれる一番の難所だったようです。
(牛は草を食べることから)子どもの湿疹(瘡・クサ)や、足の痛みを平癒するご利益があるといわれています。
牛地蔵の前には、若干の駐車スペースがあります。
写真は2020年4月5日。桜が満開です。
神峯山寺は神仏混淆のお寺
ここから先は参道です。車の通り抜けはできません。神峯山寺までは0.8km、その先の本山寺までは4.1km、ポンポン山までは7.6kmです。
参道(鳥居のある道)の左の坂道を下ると神峯山寺への近道の入り口があります。上のような標識があります。ただし、初めての方は参道の利用をおすすめします。
神峯山寺や天台宗の寺院ですが、立派な鳥居があります。神主さんではなくお坊さんがいらっしゃいますが、神社の特徴を併せ持つ「神仏混淆(しんぶつこんこう)」のお寺です。
森林浴を楽しみながら、緩やかな坂道を登ります。アスファルトなので、歩きやすく快適。
この先の本山寺やポンポン山まで行った場合は、翌日、筋肉痛になる可能性がありますが、神峯山寺ならおそらく大丈夫でしょう…?
役小角を神峯山寺に導いた金比羅飯綱大権現の祠
参道の左手にあるこの祠は、「金比羅飯綱大権現(こんぴらいづなだいごんげん)」を祀っています。
「神峯山寺秘密縁起」によれば、文武天皇元年(697年)に役小角が葛城山(金剛山)で修行をしていた時、北方の山から黄金の光が発せられて霊感を受け、神峯山寺に位置する場所にやってきた。そこで天童(金比羅飯綱大権現)と出会い、天童の霊木で4体の毘沙門天が刻まれ、役小角は伽藍を建立し毘沙門天を祀ったことが起源とされている。(神峯山寺ーwikipedia)
4体の毘沙門天の残りの3体は、さらに山道を登った場所にある「北山本山寺」と「信貴山」、そして「鞍馬寺」に祀られていると伝わっています。
聖域と俗世の境界「勧請掛」
写真は、「勧請掛(かんじょうがけ)」。お正月に飾る注連縄(しめなわ)の原型で、毎年年末に、27軒の檀家だけで作り、お坊さんが「金比羅飯綱大権現」にお経をあげます。
勧請掛は、縄に12個の樒(しきみ)を結び付けたもので、大阪堂島の米商人たちが、縄の長さなどで、その年の米相場を占っていたと伝わっています。
年末年始には青々としていた樒も、4月には随分茶色くなっています。
この勧請掛より先が「ご神域」となります。
駐車場からは一般の参道と行者参道にわかれます!
先ほど案内した②の道を左折すれば、この駐車場(51台分)に通じます。60分200円、終日500円。
ほかにも神峯山寺のすぐ隣(檀信徒専用)と、神事のあるときのみ開放される臨時駐車場で計200台分の車を駐車することができます。詳しくは、お寺(072-688-0788)にお問い合わせください。
「近道」も駐車場で合流
そして、「神峯山寺口」のバス停へと続く「近道」はここ。
山道ですが、階段になっていますので歩きやすく安全です。出入り口には動物が出て行かないように扉があります。
扉を出てアスファルトの細い道を少し進むと、右側に「お休み処 手打ちそば 秀」というお店があり、日曜日のお昼のみ営業しています。
ここで「原いっぱい」というどぶろくも購入できますが、予約をおすすめします。(072-647-8258)
行者参道はこの道を降りていきます
駐車場の左側には、第2参道(行者参道)へと続く階段があります。
20分間ほどアップダウンの激しい山道を歩くことになります。
これは一般の参道からの風景。真下を新名神高速道路が走っています。
山門左手にはトイレとお茶処
山門(仁王門)の向かって左側には、「お茶処」やトイレがあります。
オープンテラスで、基本的に雨天と火曜日がお休みです。営業時間は8時頃から16時ごろまで。
神峯山寺でぜんざい食べてます(^¬^) pic.twitter.com/tofLmRptxD
— ねぎみそ (@negimi283) February 2, 2020
メニューは、抹茶やコーヒー、紅茶などの飲み物とおぜんざいやおそばなどの軽食があります。お値段はおそば500円、おぜんざい400円、コーヒーや紅茶300円、ソフトドリンク150円ほかです。(2020年11月現在)
12月27日にお茶処を撮影しました。まだ少し紅葉が残っています。地元のおじさんたちが集っています。
行者参道と一般の参道は、神峯山寺山門の前で合流します。
神峯山寺境内へ
神峯山寺山門の金剛力士像
2017年秋から、神峯山寺山門(仁王門)にある金剛力士像の吽形像(うんぎょうぞう)を修復しています。
2020年4月現在、朱塗りの阿形像(あぎょうぞう)のみが参拝者を出迎えてくれます。
神峯山寺は光仁天皇の勅願所
神峯山寺の本堂は、774(宝亀5)年に、第49代天皇「光仁天皇(こうにんてんのう)」の命により建てられた勅願所で、子息の開成皇子(かいじょうおうじ)が、初代の住職を務めました。
勅願所(ちょくがんしょ)とは、時の天皇・上皇の勅命により、鎮護国家・玉体安穏などを祈願する神社。(wikipedia)
神峯山寺は紅葉で有名なお寺ですが、桜や新緑の季節もおすすめです。
神峯山寺、阿弥陀信仰の起源「嶺峰院」
「嶺峰院(れいほういん)」には、神峯山寺の阿弥陀信仰の起源となった「阿弥陀如来坐像」の身代わり仏が安置されています。
連続護摩修行の「化城院」
「化城院(けじょういん)」は、山門から入って左側にあります。こちらでは、2011年2月27日から、毎日欠かさず護摩を焚く「連続護摩修行」が行われています。
水曜日は午前11時~、土日は午後10時~、ほかの曜日については、公式サイトで告知しています。(最新情報はこちら)
事前予約は不要ですが、開始時間の30分前までに神峯山寺総合案内所で申し込みます。護摩木は300円、祈願札は3,000円、5,000円、10,000円の三種類となっています。
御朱印は「宝塔院(本坊・納経所)」へ
社務所(案内所)では、お守りやお札がいただけます。
神峯山寺のおみくじには「大凶」あり!?
神峯山寺のおみくじは、大吉から大凶まで32種類あり、お坊さんの解説付きです。ただし、ご不在の場合がありそうなので、社務所でご確認ください。初穂料は大人300円、子ども100円。
御朱印は、御本尊の「毘沙門天」、新西国三十三ヶ所 第十四番「聖観音」、開山の祖「役小角」の3種類。初穂料はそれぞれ300円です。ご希望の方は「宝塔院(本坊・納経所)」まで。
秋の大祭では、秘仏の「兜跋毘沙門天」の御朱印がいただけます。もちろん、御朱印は参拝の後にもらいましょう。
天皇と皇室を表す十六八重菊紋のある本堂
こちらはお盆の「施餓鬼法要(せがきほうよう)」時の本堂の飾りです。
本堂は、765(明和2)年の火災により焼失するも、1777(安永6)年に再建されました。
天皇と皇室を表す十六八重菊紋が見られ、堂内には3体の毘沙門天が安置されています。
除夜の鐘も撞ける「鐘楼堂」
本堂左手奥には、「鐘楼堂」があります。12月31日(大晦日)の23:45までに、直接「鐘楼堂」に行けば、除夜の鐘を撞くことができます。
「鐘楼堂」より向こうには、オオスズメバチの巣があると注意書きがありました。
「光仁天皇墓碑(十三重塔)」
写真左は、「光仁天皇(こうにんてんのう)」の分骨を納めたとされる「光仁天皇墓碑(十三重塔)」です。
役小角が安置されている開山堂
急な石段を登った場所にある「開山堂」は、役小角と遣いの鬼・藍婆(らんば)、毘藍婆(びらんば)が安置されています。
ここは役小角が毘沙門天を安置する伽藍を建立したと伝わる場所で、境内で一番高い場所です。
開山堂は、神峯山寺の「初寅会」の日のみ開帳され、参拝することができます。
御朱印は役小角
2020年12月27日に参拝した時にいただいた御朱印です。697年に神峯山寺を開山したとされる「役小角」と書かれています。
初寅会では火渡りの神事を体験できます!
【高槻市】高槻の新春恒例行事。神峯山寺「初寅会」大護摩供・火渡り神事を体感してみませんか? https://t.co/nCIZervcVU pic.twitter.com/W5EQv0jZyk
— 号外NET(号外ネット)【公式】 (@goguynet) January 5, 2020
「火渡り神事」を体感するには、初寅会専用の赤印が押された護摩木(300円)を求めます。例年雨天決です。
神峯山寺のベストシーズンは晩秋
大阪北摂の知る人ぞ知る紅葉の名所、高槻市の神峯山寺。境内には20種300本の紅葉する木々があります。種類により色づく順も異なるので、長期間紅葉を楽しめます。23日(金)は、秋の大祭も行われます!
神峯山寺 秋の大祭と紅葉狩り
2018年11月3日(土・祝)~30日(金)https://t.co/r5VKaA9bFM pic.twitter.com/qPmwkkKVS4— 大阪観光局【公式】 (@Osaka_Tabilog) October 19, 2018
神峯山寺は紅葉の名所です。見頃は11月下旬。紅葉の時期のみ、拝観料(環境保全費)300円(子ども100円)が必要となります。
今回は、「神峰山寺」のご紹介をしました。
鳥居に狛犬、金剛力士像があるなど、神峯山寺は、神仏混淆に山岳信仰が混ざったユニークなパワースポットです。
大阪の中心からわずか2時間弱で、自然を満喫できます。特に紅葉の季節は必見です。