今回は、徳島県鳴門市の『大塚国際美術館』の見どころをたっぷりご紹介します。
大塚国際美術館には、西洋名画を原寸大の陶板で忠実に再現した作品、1075点が展示されています。(2021年8月現在)
テレビや美術の教科書でおなじみの作品を至近距離まで近づいて鑑賞することができます。
大塚国際美術館で、どのような作品が鑑賞できるのかといえば…
- モナ・リザ(レオナル・ド・ダヴィンチ)
- ヒマワリ(フィンセント・ファン・ゴッホ)
- 真珠の耳飾りの少女/青いターバンの少女(ヤン・フェルメール)
- ゲルニカ(パブロ・ピカソ)
- 叫び(エドバルト・ムンク)
- 落ち穂拾い(ジャン=フランソワ・ミレー)
- 睡蓮(クロード・モネ)
- 接吻(グスタフ・クリムト)
- 快楽の園/悦楽の園(ヒエロニムス・ボス)
- システィーナ・ホール(ミケランジェロ)
もちろんこれらは1000点を超える展示作品のごく一部なのですが、作品名を聞いただけで鮮やかな映像が目に浮かぶ美術ファンも多いのではないでしょうか。
展示室は地下3階から2階まであり、開館時間の9時30分から17時まで滞在して、なんとかすべて見学できるほど広大です。
鑑賞ルートは約4㎞ありますので、歩きやすい靴をおすすめします。普通に歩くだけで1時間はかかります。
三脚やフラッシュさえ使わなければ、写真撮影も可能。これは陶板絵画ならではの醍醐味ですね。
それでは『大塚国際美術館』の見どころをご紹介します。
取材は2021年7月17日(土)でした。
- 大塚国際美術館の陶板名画は、実物とはどう違うのか?
- 大塚国際美術館の見どころ ① 教会と古代遺跡で海外旅行気分
- 大塚国際美術館の見どころ ② 門外不出の名画オンパレード
- 大塚国際美術館の見どころ ③ 『ゴッホのヒマワリ』勢ぞろい
- 大塚国際美術館の見どころ ④ 『ボスの快楽の園』を完全再現
- 大塚国際美術館の見どころ ⑤ 奇跡の『フェルメールギャラリー』
- 大塚国際美術館の見どころ ⑥ 『ダ・ヴィンチ』作品のありえないツーショット
- 大塚国際美術館の見どころ ⑦ 『最後の晩餐』修復前・修復後
- 大塚国際美術館の見どころ ⑧ 太陽の下での『睡蓮鑑賞』
- 大塚国際美術館の見どころ ⑨ 『受胎告知』勢ぞろい
- 大塚国際美術館の見どころ ⑩ 知らない作品続々
- 『大塚国際美術館』は芸術好きのテーマパーク
大塚国際美術館の陶板名画は、実物とはどう違うのか?
大塚国際美術館の陶板名画は、大塚製薬のグループ会社である大塚オーミ陶業が先端技術の粋を集め、陶器の板に名画の原画を転写したものです。
しかも、名画の写真を陶板に転写しただけではなく、技術者が丁寧な手作業で現物の筆の跡まで再現しています。
もちろん勝手に複製を作って展示しているのではなく、原画の著作権者や所有者に許可を取り、綿密な現地調査をおこなったうえで心を込めて制作し、最後は各美術館の館長やスタッフが来日して検品し仕上げています。
大塚国際美術館についての口コミ・評判を拾ってみました。
大塚国際美術館と陶板名画の『素晴らしい点』
- 発色が美しい
- 筆使い、筆の跡まで忠実に再現しようと、技術者が最大限努力をしている
- 作品が時代やテーマごとに分けられ、テーマパークのような楽しさがある
- 現物と同じサイズの作品を目の前で鑑賞できる
- フラッシュや三脚を使わなければ写真撮影が自由(もちろん、その写真を販売してはいけません)
- 1075点もの世界の名画が一日で鑑賞でき、世界旅行気分が味わえる
- 絵画だけではなく、遺跡や教会も楽しめる
大塚国際美術館と陶板名画の『気になる点』
- 「筆使い・筆の跡」がやっぱり現物とは違う
- 陶板のつなぎ目が気になる作品がある
- 入館料が高い(一般3,300円(税込))
- 館内が広く、どこまで鑑賞したかわかりにくい
私も美術が好きで、国内だけではなく海外にも出向きますが、陶板名画は発色に関して見劣りすることはありませんでした。画集を見るのと違い現物大のため迫力もあります。
2000年たっても退色しないとされる大塚オーミ陶業の特殊転写技術に加え、熟練技術者の手が入り、オリジナルの画家や作品に対するリスペクトや愛情も十分感じられました。
確かに作品のよっては陶板のつなぎ目が見えましたが、気になるかならないかは個人差があると思います。
オリジナル作品との筆使いの違いに関しても同様だと思いますので、オリジナルの画家や油絵の作品に強い思い入れのある方には、向かないかもしれません。
入場料の3,300円(税込)については、日本で一番高い入館料だとされていますが、私にはお値段以上の価値があったと思います。
100ほどある展示室にはそろぞれ番号があり、床にも順路を示す矢印があるのですが、通路の左右の壁に作品があったり、床の矢印を無視して出口から入ってしまうこともあったため、現地でもらうマップに印を付けながら周るのもおすすめです。
大塚国際美術館の見どころ ① 教会と古代遺跡で海外旅行気分
大塚国際美術館では「環境展示」として、古代遺跡や教会などをオリジナルの空間ごと立体的に再現しています。
環境展示のなかに一歩入れば、ここが徳島県の鳴門市だということを忘れてしまいそうです。
西暦79年、ベスビオ火山の噴火により一夜にして灰のなかに埋もれてしまった街、ポンペイ。イタリア南部のナポリ近郊の街です。
こちらの壁画(フレスコ画)は、秘儀荘とよばれる90もの部屋を持つ豪邸の一室『秘儀の間』を再現したもの。地下3階に展示しています。
当時信仰されていた「ディオニソス教入信」の一連の儀式を描いたものとされています。
こちらは『聖ニコラオス・オルファノス聖堂』。同じく地下3階。
この聖堂は、ギリシアのテサロニキという街にあります。14世紀の初頭に建てられたビザンティン形式の教会で、十二祝祭最後の場面である「聖母の死」が描かれていることから、装飾のテーマは聖母称賛だと考えられています。
聖ニコラオス(ミラのニコラオス)は、貧しい人々を助けたことで知られている聖人で、サンタクロースの起源だとする説もあります。
ミラのニコラオスが司祭であった時には、かつて豪商であったが財産を失い貧しくなったために娘を売春させなければならないところであった商人の家に、夜中に窓(あるいは煙突とも)から密かに2度、多額の金を投げ入れた。このため持参金も用意して娘達は正式な結婚を行なうことができた。(wikipedia・ミラのニコラオス)
大塚国際美術館の「環境展示」は、①システィーナ・ホール ② エル・グレコの部屋 ③ 聖マルタン聖堂 ④ 聖ニコラオス・オルファノス聖堂 ⑤ 秘儀の間 ⑥ 鳥占い師の墓 ⑦ 貝殻のヴィーナス ⑧ スクローヴェーニ礼拝堂 ⑨ 聖テオドール聖堂 ⑩ モネの「大睡蓮」 ⑪ ゴヤの家 ⑫ ストゥディオーロ の12点となります。(2021年8月現在)
大塚国際美術館の見どころ ② 門外不出の名画オンパレード
各美術館には、現地まで足を運ばなければ見ることのできない門外不出の作品があります。
その美術館の目玉作品で、わざわざ足を運んでくれた人のために、ほかの美術館には貸し出さないものや、大きすぎて運べないもの、壁に直接描かれているものなど、さまざまな事情のある門外不出作品を、大塚国際美術館一か所で鑑賞することができます。
ヴィーナスの誕生は、ルネッサンス期の画家、サンドロ・ボッティチェッリの代表作で、フィレンツェのウフィッツィ美術館が所蔵し展示しています。
縦172.5 cm、幅278.5cmというサイズのためか、わざわざ美術館に足を運んでくれるお客さまのためなのか、門外不出作品となっています。
貝殻の上に乗るヴィーナスのモデルは、フィレンツェ一の美女として讃えられていたシモネッタ・ヴェスプッチとされています。
彼女は、ボッティチェッリと出会ったわずか1年後に肺結核で亡くなるのですが(享年23歳)、『ヴィーナスの誕生』が完成したのは、それから9年も後のことでした。
左のグスタフ・クリムトの「接吻」は、オーストリア・ギャラリーに収蔵されています。
珍しい金箔を使った油絵作品。もちろん大塚国際美術館の接吻は、金箔の美しさもうまく表現しています。クリムト本人と恋人エミーリエ・フレーゲがモデルとされています。
エミーリエのお姉さんがクリムトの弟と結婚したことからふたりの交際が始まり、生涯にわたり良い関係を続けてきました。
左はルーブル美術館が所蔵している「モナ・リザ」。ここまで読んでくれた人の中では知らない人はいないと思います。
実はこのモナ・リザ、1974年に一度だけ来日しました。田中角栄元首相がフランス政府に頼み込んだそうですが、素晴らしい交渉力ですね。
2011年にイタリアのフィレンツェ市がルーブル美術館に依頼したときは、移送中の事故を心配して断られたそうです。
モナ・リザが東京国立博物館にきたとき、混雑を予想した主催者側が、お年寄りや障がい者などの付添人を必要とする人や、赤ちゃんを連れた人の入場を禁止することにしたそうです。
これに憤慨した活動家の女性が、モナ・リザの入っていたガラスケースに赤いスプレーを吹き付けて逮捕されました。幸いモナ・リザ自体は無事でした。
この罪状に対し罰金は3,000円だったそうですが、彼女はすべて1円玉で支払ったとか…。
主催者側の差別的な方針も現在では考えられないものですが、この抗議の仕方はいただけませんね。
大塚国際美術館の見どころ ③ 『ゴッホのヒマワリ』勢ぞろい
大塚国際美術館では、フィンセント・ファン・ゴッホが制作した7点(現存するもの6点+太平洋戦争末期に空襲で焼失した1点)の「ヒマワリ」をすべてを展示しています。
アルルの黄色い家で画家たちとの共同生活を夢見ていたゴッホが、部屋中を美しい花で飾ろうとして描いた作品がこの「ヒマワリ」。ゴッホの希望や情熱が作品から溢れていますね。
ゴッホはアルルで「画家村」を作ろうと計画しましたが、賛同してくれた人はゴーギャンただひとり。しかしその生活も、たったの2か月で破綻します。
- (左)兵庫県芦屋市の実業家、山本 顧彌太氏の自宅に飾られていましたが、太平洋戦争末期の空襲で焼失してしまった幻の作品。別名「芦屋のひまわり」。
- (中央)最初に制作したとされています。私の一番のお気に入りです。
- 「耳切り事件」で入院していたゴッホが、退院後、アルルの黄色い家に戻って描いたものです。夢が破れた後もゴッホはヒマワリを描き続けていたのですね。この作品は現在、非常に壊れやすい状態にあり、ファンゴッホ美術館から門外不出となっています。
ゴッホ作品の特徴である厚塗りの筆の跡もそのまま再現されています。
大塚国際美術館の見どころ ④ 『ボスの快楽の園』を完全再現
ヒエロニムス・ボスの「快楽の園/悦楽の園」は、三面鏡のような構造をした三連祭壇画。ボスの作品のなかでは一番有名な作品です。
大塚美術館では、天地創造を描いた扉まで正確に再現。数分おきに扉が開閉します。どちらも見逃さないようにしましょう。
ボスは、ルネサンス期のネーデルラントの画家。1453年ごろ誕生したとされ、レオナル・ド・ダヴィンチ(1452年生まれ)と同世代です。
作風やテーマはまったく違いますが、ふたりとも間違いなく天才ですね。
現存する作品が約30点程度と非常に少なく、絵に登場する不思議で個性的な生き物同様、ボスの正体は謎に満ちています。
扉を開けると左翼にはアダムとイブのエデンの園、中央部には裸体の男女と巨大な鳥や果物、右翼には地獄で拷問を受けている人たちが描かれています。
決して見飽きることのないヒエロニムス・ボスの作品。現物はマドリッドのプラド美術館に保管、展示されています。
快楽の園は、たまに外国に貸し出すこともあるようですが、すぐに見たい人は大塚国際美術館へ。画集とは迫力が違います。
大塚国際美術館の見どころ ⑤ 奇跡の『フェルメールギャラリー』
1990年代前半まで、日本ではどちらかといえば無名の画家だったフェルメール(1632〜1675)。
そんな彼を一躍有名にしたのは、2000(平成12)年に大阪市立美術館で開催された「フェルメールとその時代展」でした。
それまでは、日本人に人気の西洋画家といえば、ピカソ、ルノワール、ゴッホ、モネ、シャガール、ダビンチあたりでしたが、これを機にフェルメールも肩を並べたような気がします。多少私のひいき目が入っているかもしれませんが。
左の作品「デルフトの小道」は、彼の実家の近くにあった養老院だと伝わっています。
少女のターバンは、ラピスラズリを原料とするブルーの顔料で塗られています。アフガニスタンからの輸入品で、非常に高価なものでした。
生前から画家として大成功していたのかと思いきや、子ども11人の大家族で、生活費すら義母に頼らなければならないほど貧窮していたとされます。
しかも大量の負債を残し、43歳という若さで亡くなりました。
「オランダのモナ・リザ」「キタのモナ・リザ」と呼ばれているこの「青いターバンの少女」は誰?
- フェルメールが想像で描いた架空の少女
- フェルメールの娘マーリアまたは妻(家族)
- 『ベアトリーチェ・チェンチの肖像(グイド・レーニ作)』へのオマージュ
- フェルメール家の小間使い(フィクション小説「真珠の耳飾りの少女」より)
当時のオランダでは、ターバンを巻く風習がなかったそうで、「架空の少女」説が有力だとされています。
大塚国際美術館では、生涯に37作品しか残さなかったヤン・フェルメールの作品が、6作品も鑑賞することができます。
大塚国際美術館の見どころ ⑥ 『ダ・ヴィンチ』作品のありえないツーショット
大塚国際美術館では、レオナルド・ダ・ヴィンチゆかりの「岩窟の聖母」を2枚並べて鑑賞することができます。
「岩窟の聖母(1483~1486年)」は2作品あり、パリのルーヴル美術館(ルーヴル・ヴァージョン/右)とロンドンのナショナル・ギャラリー(ロンドン・ヴァージョン/左)がそれぞれ所有しています。
写真のうつりが悪く申し訳ないのですが、2枚の作品は登場人物(聖母マリア・イエス・洗礼者ヨハネ・天使ガブリエルまたはウリエル)や背景、構図がほとんど同じ。
なぜ同じような絵が2枚も存在するのでしょうか。
実はこの絵をめぐって、ダヴィンチと依頼主との間で、およそ20年間にもおよぶ法廷闘争がありました。
まず、二つの違いをまとめてみたいと思います。
ルーヴル・ヴァージョン
- 先に描かれたといわれている
- 全体的に柔らかい印象
- 全員光輪がない
- モナ・リザと同じようなスフマート技法(輪郭をぼかす技法)が使われている
- 天使がヨハネを指さしている
- ヨハネは何も持っていない
ロンドン・ヴァージョン
- 後に描かれたといわれている
- 全体的に堅い印象
- 聖母マリア、イエス、洗礼者ヨハネに光輪がある
- 輪郭が描かれている
- 天使がヨハネを指さしていない
- ヨハネはアトリビュートである「十字架」を持ち、腰に「毛皮」を巻いている ※ アトリビュートとは個人を特定する目印のこと
ダヴィンチは注文主の「無原罪の御宿り礼拝堂」から、ビザンティン様式に従って描くよう指示されていたにもかかわらずこれを無視し、案の定トラブルに発展してしまいました。
ネットで、さまざまな方の意見をチェックしてみたところ、みな一様にルーブル・バージョンを高く評価していましたが、当時のキリスト教関係者たちは、特別な存在であるはずの聖家族を、ダ・ヴィンチがあまりにも「人間っぽく」描いたところが気に入らなかったのでしょう。
後に描き直したロンドン・ヴァージョンでは、聖母マリア、イエス、洗礼者ヨハネの3人に光輪を描き加え、ヨハネに「十字架」を持たせ、腰に「毛皮」を巻きました。
通常はヨハネがイエスより高い位置にいることはないそうで、そういった面でもこれは型破りな作品です。
ロンドンのナショナル・ギャラリーは、所有する「岩窟の聖母」は、「大部分がレオナルド自身が描いたものであり、弟子の手はほとんど入っていない」と公式発表を出していますが、美術ファンにはほとんど受け入れられていないようです。
大塚国際美術館の見どころ ⑦ 『最後の晩餐』修復前・修復後
修復前後の最後の晩餐が向い合わせで展示されています。ふたつの作品の間には椅子が並べられ休憩スペースになっています。とても贅沢ですね。
「最後の晩餐」もレオナル・ド・ダヴィンチの作品です。
ミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂に描かれているので、現地に行かなければ実物を見ることは不可能です。
食堂にあり、食べ物の湿気で相当傷んでいたところに、17世紀末のナポレオンの時代には馬小屋として使用されていたそうで、原形を留めていること自体奇跡のようなものです。
そこで、1977年から1999年にかけて大規模な修復作業が行われました。
ダヴィンチは「最後の審判」を、1495年から描き始め1498年には完成させているので、制作よりも修復に何倍もの時間がかかったということになります。
とてもきれいに修復されました。この絵を食堂に使いたくなる気持ちもよくわかります。
この画像ではよくわかりませんが、テーブルの上に魚料理があったことも修復で判明したそうです。
大塚国際美術館の見どころ ⑧ 太陽の下での『睡蓮鑑賞』
大塚国際美術館の館内にある「カフェ・ド・ジヴェルニー」というレストラン直結のスペースに「モネの大睡蓮」があります。
椅子が置かれ、ここも気持ちの良い休憩スペースになっています。ここは屋根のないオープンスペースで、太陽の下で名画鑑賞できるのは、大塚国際美術館だけですね。
クロード・モネ(1840~1926)は印象派を代表するフランス人画家で、日本でも多くのファンがいます。
モネは50歳から亡くなる86歳までに、「睡蓮」をテーマにした作品を200点以上残しています。
大塚美術館地下2階にある「カフェ・ド・ジヴェルニー」。セルフサービスのお店。
テラス席は「モネの大睡蓮」のあるオープンスペースまでつながっています。
写真は「ヴィーナスカレー」。もちろん、ボッティチェリのヴィーナスの誕生をモチーフにしたメニュー。具沢山でヘルシーでした。鳴門産の鳴門金時まで入っています。サラダが付いて1,100円(税込)
大塚国際美術館の見どころ ⑨ 『受胎告知』勢ぞろい
さまざまな画家が描いた『受胎告知』を、同じ部屋で鑑賞することができます。聖母マリアの表情がさまざまでとても楽しい試みです。
タイトルが多少違うものも混ざっていますが「受胎告知」だけで16作品もあり、ほとんどが地下二階の28と29の部屋に集められています。(2021年8月現在)
「受胎告知」とは、大天使ガブリエルが、処女マリアにキリストの懐妊を告げたこと。カトリック教会では、これを記念して3月25日を祝日とする。聖告(小学館・大辞泉)
大天使ガブリエルのアトリビュートは「ユリの花」です。
レオナル・ド・ダヴィンチの「受胎告知」。2007年3月に東京国立博物館に貸し出され、3か月間で80万人の来場者を集めました。
1945年以降、一度も海外に貸し出されたことのない作品で、ウフィツィ美術館の館長や関係者が反対し署名運動まで起こりましたが、1億ユーロの保険がかけられ、完ぺきな輸送で無事到着しました。
貸し出しはわずか3度。残りは1935年のパリと1939年のミラノで、フィレンツェからは比較的近場でした。
こちらはピエロ・デッラ・フランチェスカ(1412~1492)の「受胎告知」。イタリア初期ルネサンスを代表する画家です。
ガブリエルをはじめとする天使がみな、童顔で可愛い顔をしていますね。理数系の人物で、『算術論』『遠近法論』『五正多面体論』の3冊の著作を残しています。
大塚国際美術館の見どころ ⑩ 知らない作品続々
大塚国際美術館には、1075もの作品が展示されていますから、聞いたことのない画家や見たことのない絵もたくさんありました。
私が知らなかっただけで、どれもこれも素晴らしい作品です。大塚美術館はお気に入りの画家や絵画を見つけるチャンスをくれます。
ジョアン・ミロ(1893~1983)は、スペイン・カタルーニャ地方出身。シュールレアリスム運動に参加していましたが、その画風はほかのシュールレアリストとは異なり、原色を多用した生命感あふれるものです。
「農園」はミロの初期の代表作ですが、なかなか売れず、最終的にミロのボクシング仲間だったアーネスト・ヘミングウェイが買い上げました。
まだ無名の画家だったヘミングウェイは、借金までして、5,000フランで念願の「農園」を手にしたそうです。
フロリス・ファン・ダイク(1575~1651)は、オランダの静物画家。フェルメールと同じデルフト生まれです。
「チーズのある静物」は、1613年の作品。彼が人生の大半を過ごしたオランダ・ハールレムの「フランス・ハルス美術館」に所蔵されています。
『大塚国際美術館』は芸術好きのテーマパーク
今回は、大塚国際美術館の見どころを10選ご案内しました。
一ヶ月ほど前に行ったばかりですが、すでにもう一度行きたい気分です。
レプリカといっても、それぞれの作品には原作者への愛と尊敬が感じられ、広大な館内全体にとても心地よい空気が漂っていました。
スポット名 | 大塚国際美術館 |
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所在地 | 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦福池65-1 |
電話番号 | 088-687-3737 |
営業時間 | 9:30~17:00(入館券の販売は16:00まで) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日) |
入館料 | 一般3,300円・大学生2,200円・小中学生550円(前売り料金あり・公式サイトの「チケット購入ページ」で購入可能) |
公式サイト | https://o-museum.or.jp/ |
交通アクセス | https://o-museum.or.jp/publics/index/824/ |