今回の記事は、管理人の大好きな映画、『ワン・デイ 23年のラブストーリー』のレビューです。「あらすじあり、ネタバレあり、独自解釈あり」ですので、これから鑑賞する予定の方は、かならず鑑賞後に再度お越しください。
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』とは?
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1988年7月15日ー「卒業」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1989年7月15日ー「引っ越し」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1990年7月15日「後輩」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1991年7月15日ー「自信」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1992年7月15日ー「旅行」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1993年7月15日ー「絶頂」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1994年7月15日ー「母」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1995年7月15日ー「逆転」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1996年7月15日ー「別れ」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1998年7月15日ー「解雇」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1999年7月15日ー「溝(みぞ)」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2000年7月15日ー「再会」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2001年7月15日ー「誕生」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2003年7月15日ー「成功」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2004年7月15日ー「幸せ」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2006年7月15日ー「厄日」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2007年7月15日ー「父」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2009年7月15日ー「和解」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1988年7月15日ー「朝」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2011年7月15日ー「親友」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1988年7月15日ー「希望」
- 『ワン・デイ 23年のラブストーリー』管理人の独自解釈
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』とは?
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』は、2011年に封切られたイギリスの女性映画監督、ロネ・シェルフィグの作品。
原作者であるデヴィッド・ニコルズが脚本を手掛けています。
映画では、詩人志望の真面目な優等生「エマ」をアン・ハサウェイ、自由奔放なプレイボーイ「デクスター」をジム・スタージェスが好演しています。
エマとデクスターは、エディンバラ大学の同級生。1988年7月15日の卒業式の帰りに出会い「親友」になります。
それから23年間(2011年まで)の「ある日(one day)=7月15日、たったの1日」だけにスポットライトを当てた壮大なラブストーリー。
ちなみに「7月15日」は、「聖スウィジンの祝日(St.Swithin’s Day)」。
イギリスの伝承童謡集「マザーグース」には、「聖スウィジンの日が雨ならば40日間雨つづき 晴れならば40日間雨はなし」という童謡があるそうです。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1988年7月15日ー「卒業」
エマとデクスターの物語の始まりは、大学の卒業式の帰り。
実のところ、二人は旧知の仲だった。
エマはデクスターに「わたしのこと覚えている? 」と尋ねてみたが、デクスターはほかの女の子と勘違いしている様子。
「私の誕生会に乱入して、服にワインをこぼしたじゃない!」とエマ。
遊びなれているデクスターは、エマの部屋に入ることには成功したものの、エマはバスルームにこもり、なかなか出てこない。
少し面倒そうなデクスター。
やっとバスルームから出てきたものの「こういうのは苦手なの」とエマ。
「だったら、僕たちは友だちのままでいよう」
そして、「明日が”晴れ”ならデートをしよう」と約束し、同じベッドで眠りにつく二人。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1989年7月15日ー「引っ越し」
エマはロンドンへと引っ越す。引っ越しの手伝いをするデクスターは、これからインドへと旅立つ予定。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1990年7月15日「後輩」
詩人を目指しながらレストランでアルバイトをするエマ。
そこに、コメディアン志望の「イアン」という新人が登場。
仕事の手順を教えるエマを「トークライブ」に誘うイアン。
「仕事の後は、帰って食べて泣きたいの」と断るエマ。
公衆電話からデクスターに「詩人として芽が出ない」と愚痴をこぼすエマ。
そこでコインがなくなり電話が切れてしまう。
電話の後、「恋しいわ」と呟くエマに対し、部屋で女性と遊ぶデクスター。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1991年7月15日ー「自信」
エマの働いているレストランに毎回別の恋人を連れてくるデクスター。
「詩はまだ書いているけれど、お金にはならないの」とこぼすエマに、「君にひとつだけプレゼントをするとしたら″自信″だ」と告げるデクスター。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1992年7月15日ー「旅行」
エマとデクスターは、2人でフランス旅行をする。
部屋は別、服は脱がないなど、「友だち」としての厳格なルールを決めるエマ。
ビーチでヌーディストのグループを見かけるが、「私は嫌よ。あなたの恋人じゃないし」と拒絶する。
酔ったデクスターは早速ルールを破り裸になり、夜のプールに飛び込み、エマを誘う。
最初は拒んでいたエマも、ワインを一気飲みしてプールに飛び込む。
「僕も君と同じ気持ちだ」と少しだけいい雰囲気になるも、「刑務所がえりと同じで誰にでも惚れる」と失礼なことを言ったかと思えば、「旅先だと割りきって」などと露骨に誘い、エマに水中に沈められる。
そんなとき、何者かにプールサイドに脱ぎ捨てられたアルマーニの服とカルバン・クラインの下着を持ち逃げされ、裸で追いかけるデクスター。
落ち込むデクスターに「私が絶対に取り返してあげる」と慰めるエマ。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1993年7月15日ー「絶頂」
深夜のバラエティ番組の司会者として人気者になるデクスター。
明け方5時に泥酔しながらエマに電話をする。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1994年7月15日ー「母」
飲酒運転をして、久々に実家に帰るデクスター。
病魔に侵され、具合の悪そうな母に、エマの書いた小説を「エマからの贈り物」だと渡すデクスター。
「読みきれるかしら? エマには短編を書くように言っておいて」と弱気な母。
そんな母に自分が司会を務める深夜番組の録画を見せても、浮かぬ顔。
「少し疲れたから夜まで休む」と言う母に、「夜からは仕事だ」と告げるデクスター。
母をベッドに運ぶも自分も居眠りをしてしまい、目覚めたときは、すでに18時をまわっていた。
母から「その仕事はあなたの目標だったの? 礼儀正しく愛情深い人間になってちょうだい」と諭される。
「ママにはあまり時間が残されていない。今度酔っぱらって現れたら、ママには会わせない。次は”しらふ”で車を取りに来い」と、父に追い返されるデクスター。
傷心のデクスターは大雨の中、エマに電話をする。
ところが、エマは教師の職を得て、コメディアン志望のイアンと映画デート中。
映画は「死霊のはらわた」。エマの好みではないようだ。
「会いに来てほしい」と留守電に吹き込むが、エマたちは食事をし、その足でイアンの部屋に。
この日、エマがデクスターの留守電を聞くことはなかった。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1995年7月15日ー「逆転」
デクスターの番組の撮影現場に父が登場。
品のない女性(スーキー)を「僕の恋人だ」と紹介するデクスターに「ママが生きていたらびっくりするぞ」と父。
そして「新聞の記事は気にするな」と告げて去る。
新聞には「低俗番組」「害虫」とデクスターの酷評が並んでいた。
取り乱しながら「会ってほしい」と、エマに電話をするデクスター。
しかしエマは、自分がプロデュースする舞台のため、デクスターに会うことはできなかった。
舞台は大成功をおさめ、イアンが一緒に喜んでくれた。
帰宅し、デクスターの新薬番組を見るエマ。
ミュージシャンにピントハズレなインタビューをし、「素人かよ」と返されるデクスター。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1996年7月15日ー「別れ」
エマはイアン、デクスターはスーキーと交際中。
久々に食事に出かけるエマとデクスター。イアンも誘うが断られる。
「教師の仕事はどう? 」と聞くデクスターに「興味もないのに聞かないで」と答えるエマ。
酔ったデクスターは「できる者はやる。できない者は教師になる」と言い放ち、当然エマは激怒。
「3年間いつも酔ってて、あの番組だって騒いでるだけじゃない!」
店を飛び出すエマ。戻ってきて欲しいと叫ぶデクスター。
エマはデクスターを抱きしめながら、「愛してるわ、心から。でももう、好きではないの。ごめんなさい」と走り去る。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1998年7月15日ー「解雇」
デクスターは32才。
ディレクターは「君はこの番組に合わなくなってきた。20代の君が良かった。君の人気は憎悪の裏返しだ。君が必要なのは本当に愛してくれる人だ」と告げ、解雇する。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1999年7月15日ー「溝(みぞ)」
新しい交際相手、シルヴィーの家を訪問するデクスター。
家族に「彼は人気司会者だったのよ」と紹介されると、「ママが大嫌いだった番組だよ」と弟。
家族とゲーム中、不注意からシルヴィーに怪我をさせるデクスター。母に「ボンクラ!」と怒鳴られる。
エマの留守中に、異性の親友、デクスターとの出会いや恋心を綴った詩を読んでしまうイアン。
泥酔し荒れるイアン。二人は大喧嘩する。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2000年7月15日ー「再会」
共通の友人の結婚式で再会することになったエマとデクスター。
チャイナドレスをまとったエマは、ますます自信に満ち、美しくなってきた。
そこでシルビィーと対面するエマ。お嬢さま育ちのシルヴィーは、パーティーの食事が口に合わない様子。
二人で会場を抜け出すエマとデクスター。
そこでエマは、「初めて原稿料が入った」と報告し、デクスターは、シルヴィーと結婚することと父親になることを告げる。
エマはデクスターを抱きしめ「あなたはきっと良い父親になれるわ」と励ます。
「消えないでね」とエマ、「君も消えるなよ」とデクスター。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2001年7月15日ー「誕生」
デクスターとシルヴィーの娘「ジャスミン」が誕生。
友人の「結婚前夜祭」にお洒落をして出かけるシルヴィー。
ジャスミンと留守番をするデクスターはエマの本を読み聞かせる。
そこに電話が入り、とっさに「エマ?!」と応答してしまうが、相手はシルヴィーだった。
友人といるはずのシルヴィーは、男性と「お泊まりデート」をしていた。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2003年7月15日ー「成功」
離婚をし、パリに住むエマを訪ねるデクスター。
電車の中で、エマの書いた本を読む子どもを見つけ微笑むデクスター。
駅まで迎えに来てくれたショートカットのエマと再会する。
ところがエマは、ジャズミュージシャンの新しい恋人がいると明かし、「あなたも彼の演奏を聴かない?」と誘う。
「会わない。明日の朝ロンドンに帰る」と背を向けるデクスター。
しばらく歩いていると、エマが追いかけてきた。
「やっぱり吹っ切れない!」「わたしを裏切らないと誓って!」と抱き合う二人。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2004年7月15日ー「幸せ」
二人でオープンした食料品店で、新郎の挨拶の練習をするデクスター。
幸せの絶頂にいる二人。
デクスターとシルヴィーの娘、ジャスミンを見て、自分も子どもが欲しいと伝えるエマ。
以下、完全なネタバレに入ります。これからこの映画を鑑賞する予定の方は、読まないようにお願いします。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2006年7月15日ー「厄日」
遠回りをしてきたせいか、なかなか妊娠しないことに苛立つエマ。
「今日は厄日ね」
そんなエマに「今日は一緒に映画を観て、食事をしよう」と元気づけるデクスター。
プールからの帰り道、自転車に乗るエマ。トラックに跳ねられ天国へ。
なにも知らないデクスターが留守電を確認すると「あなたって、幸せな人ね」と吹き込まれていた。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2007年7月15日ー「父」
失意の中、クラブで喧嘩。怪我をし、やっとのことでシルヴィーの家にたどり着くデクスター。
「僕はこれからどうして生きていけばいいんだ」
シルヴィは、デクスターの父が一人で暮らす実家に彼を運ぶ。
漫然とテレビ画面を見つめる父子。
「これが7月15日の”年中行事”となりそうだな。エマがいると思って生きてみてはどうだ?」
「そんなことはできないよ」
「できるさ。ワシは10年間そうしてきたのだから」
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2009年7月15日ー「和解」
デクスターの経営する食料品店に、イアンが現れる。
現在は保険業を営み、妻と二人の子どもと幸せに暮らしているようだ。
イアンは、エマの命日である7月15日が嫌いだと言う。
そして「僕は君のことを憎んでいたが、エマは君といると輝いていた。エマが君を″まとも″にした。そして、君がエマを”幸せ”にした。だから、僕は君に感謝している」と伝えた。
デクスターはイアンに「これからは連絡を取り合おう」と提案するが、イアンは「これで会うのは最後にしよう」と断り、二人は抱き合う。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1988年7月15日ー「朝」
「起きて、起きて」とエマの声。ここはエマの部屋。
「今日はデートをしよう」とエマ。
「今日は両親と会うんだ」
断られたと思い、帰り支度をするエマ。
でも、まだ時間があるからと、二人で丘にのぼる。
登山用の靴ではないからと言い訳をし、遅れがちなデクスターに、「これは丘よ!子どもでも登れるわ」と笑うエマ。
「私は結婚も子どもも望まない。将来どこかで会えたら…。いい友だちで!」と、壁を作るエマに、「それより、両親が来るまでまだ時間がある。昨夜の宿題の続きをしようよ」とデクスター。
「競争よ!」
笑いながら「丘」を駆け降りる二人。
二人とすれ違う「親子連れ」が、駆け降りていく二人を一瞬目で追う。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー2011年7月15日ー「親友」
丘の上で寝転ぶデクスターと娘のジャスミン。
「エマと来たの?」
「昔ね」
「恋しい?」
「もちろんさ、パパの親友だったから」
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』あらすじー1988年7月15日ー「希望」
1988年、7月15日。階段を駆け降りるエマとデクスター。
そこで予定より早く来たデクスターの両親とばったり会う。
「お邪魔だったかしら?」と母。
「昨日の服と同じだ。悪ガキめ!」と父。
その場を去るエマ。「恋人同士のような」キスをして、電話番号を聞くデクスター。
「父のファックス番号は?」
「それはいいや」
再会を約束して別れる二人。
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』管理人の独自解釈
「起きて!」からはじまるシーンをただの「回想」だと考えるか、「アナザーストーリー」が始まると考えるかで、この映画の「後味」は変わってきます。
お父さんやイアン、シルヴィーとは、いい関係になれたにしても、これを「回想」だと考えると、とても悲しいストーリーになってしまいますよね。
わたしは、丘で若いエマとデクスター、年齢を重ねたデクスターと娘のジャスミンがすれ違っていること、フランス旅行ではあれほど高い壁を作っていたエマとデクスターが、「恋人同士のような」キスをして、エマが聞かれてもいない父親のファックス番号まで教えようとするほど積極的だったことから、このストーリーは「パラレルワールド」の話だと考えています。
「エマの事故死」ではなく、これから始まるアナザーストーリーでは、きっとハッピーなエンディングが待っていることでしょう。