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飛鳥(明日香)レポート①『亀バス』から蘇我馬子のお墓?『石舞台古墳』を徹底解説!

飛鳥時代の女性のイメージ

2021年4月4日(土)、横浜の友だちと二人で明日香村(奈良県高市郡)の観光に出かけました。

明日香には一日だけの滞在でしたが、近鉄橿原神宮前駅(東口)からスタートし、石舞台、岡寺、飛鳥寺(飛鳥大仏)、高松塚壁画館、キトラ古墳壁画体験館「四神の館」等をまわってきました

飛鳥(明日香)レポートは四部構成で、①亀バス、石舞台編 ②岡寺、飛鳥寺(飛鳥大仏) ③高松塚古墳 ④キトラ古墳編になります。

これから旅行される方の参考になれば…と思います。

飛鳥なのになぜ明日香?

これは、明日香村役場に一番多く寄せられる質問だそうです。

『明日香』と『飛鳥』の歴史

アスカの地名としては、飛鳥の字が一般的に定着しており、昭和31年高市村、阪合村、飛鳥村の3村が合併して生まれた村名である。
明日香村は、現代的感覚で新しく造られた名前のように理解されている向きが多い。(がしかし…)(参照元:明日香村役場

「明日香村」は、昭和31年に3つの村が合併してできた地名のようですが、「飛鳥」という名も「大字」として残されています。

たとえば、飛鳥大仏で有名な「飛鳥寺」付近が、「明日香村大字飛鳥」になるそうです。

役場のホームページによると、「あすか」は、古事記、日本書紀、万葉集等に、明日香、飛鳥、安宿、阿須賀、阿須可、安須可等、さまざまな漢字で登場しており、古事記と日本書紀には「飛鳥」が使われていることが多く、万葉集には「明日香」が多かったそうです。

Ruby
Ruby
現代的なイメージがある「明日香」ですが、かなり古くから使われていたんですね。
野々村くん
野々村くん
「飛ぶ鳥の(とぶとりの)~」は「明日香」と「早く」の枕詞だそうです。飛んでいる鳥はだいたい早いですからね。

「アスカ」の語源は?

アスカの語源いろいろ
  1. (仏教発祥の地)インドの「アショカ王」または、「理想の楽園=アスカ」から
  2. 古代、めでたいことの前兆(瑞兆)として尊ばれていた「イスカ」という鳥から転じて「アスカ」になった
  3. (渡来人の言葉だった)古代朝鮮語の「安住の宿(安宿)=アンスク」から「アスカ」となった
  4. 古代朝鮮語の「村=スカ」に、接頭語の「ア」がついて「アスカ」になった
  5. 「スカ」という語には「神聖」という意味があり、「アスカ」は「神聖な地」という意味がある
  6. 接頭語「ア」+「スカ」(洲処/川や海など、水によって生じた堆積地)、「浅す=アス」+「処=カ」、「崩地=アス」+「処=カ」など、地形の特徴から
Ruby
Ruby
個人的には「理想の楽園説」か「神聖な地説」を推したいですね。

明日香周遊バス「赤かめ(亀バス)」は使える?

「明日香」はとってもコンパクトな村。まる2日もあればおもな観光スポットはほとんど周れるでしょう。3日もあればパーフェクトだと思います。

明日香を周るには、「赤かめ”周遊&循環”バス(かめバス)+徒歩」か「レンタサイクル」になります。

私たちは、かめバスの「1日フリー乗車券」を購入しましたが、①(近鉄)橿原神宮前駅東口→石舞台→(近鉄)明日香駅と、逆周りの②(近鉄)明日香駅→石舞台→(近鉄)橿原神宮前駅東口が、それぞれ1時間に1本ずつしかないため、使いこなすのはなかなか難しく、結局ほとんど徒歩での移動になってしまいました。(2021.4.4の情報)

ただし、この1日フリー乗車券は、大人料金が650円(小人330円)なので、購入しても損をすることはまずありません。

土日の場合、バスは朝の6時台から夕方の6時台まで運行していますし、フリー乗車券はキトラ古墳方面のバス(飛鳥キトラ線)にも使えます。おまけに近鉄電車との接続まで計算しているそうです。

ちなみに、早朝と夕方は「赤かめ”循環”バス(停まらないバス停がいくつかあるので注意)」になります。詳しくは現地で路線図と時刻表をもらってください。

フリー乗車券を購入すれば、一回一回バス代の小銭を用意する必要がなく、ドライバーさんに乗車券を見せるだけというのも便利ですよね。

ちなみに橿原神宮前東口~石舞台の片道料金は380円。1日フリー乗車券を使い、この区間を往復するだけで、もう元が取れます。

Ruby
Ruby
2日フリー乗車券もあり、こちらはさらにお得な大人1,000円(小人500円)!
赤かめ路線図

バスのルート1周の所要時間は40分前後。バス停とバス停の間は1分からせいぜい5分ですので、バスの時間を気にせず観光して、ちょうど良いバスがあれば乗る、なければ次の目的地までのんびり歩くという利用方法をおすすめします

時刻表とにらめっこしてスケジュールをしっかり立てれば、超お得なフリー乗車券なのですが、そうなると時間に縛られることになり、明日香を十分楽しめません。

向日葵さん
向日葵さん
明日香はゆっくりと流れる時を楽しみたい場所です。

5月4日は雨の予報だったので、私たちはバスにしましたが、晴れた日はレンタサイクルもおすすめです。

「1日・2日フリー乗車券」は、かしはら観光インフォメーションセンター神宮前、近鉄橿原神宮前駅(東改札口)、飛鳥びとの館(近鉄飛鳥駅前)、石舞台駐車場料金所、キトラ古墳壁画体験館「四神の館」等で購入できます。

このうちおすすめは、「かしはら観光インフォメーションセンター神宮前(近鉄橿原神宮前駅東口徒歩3分)」と「飛鳥びとの館(近鉄明日香駅すぐ)」。

「かしはら観光インフォメーションセンター神宮前」は橿原市商工経済会館の1階で、THE KASHIHARA(ザ 橿原)というホテルの道を挟んだ向かい側にあります。

どちらも手荷物が預けられ、明日香のパンフレットがもらえます。

車以外のほとんどの旅行者が、「近鉄橿原神宮前駅」か「近鉄飛鳥駅」を明日香観光のスタート地点にすると思うので、駅前でフリー乗車券を購入するのが一番お得です。

飛鳥駅からは、キトラ古墳までのバス(飛鳥キトラ線)も出ているので、最初に少し離れたキトラ古墳を見学するのも効率がよさそうです。

飛鳥駅(発)09:1510:5412:2513:5616:26
キトラ(着)09:2010:5912:3014:0116:31
キトラ(発)09:2111:0012:3114:0216:32
飛鳥駅(着)09:2611:0512:3614:0716:37

これは2021年4月現在の時刻表(平日・土日とも同じ)ですが、キトラから飛鳥駅方面に戻るバスは90~150分後に来ます。9時台〜13時台までの間にチャンスは4回。往復ともバスを利用する場合は、キトラ古墳を見学後、ふたたび飛鳥駅に戻ることになります。

キトラ古墳壁画体験館「四神の館」は、私のイチオシのスポットなので、皆さんにもぜひ足を運んでもらいたいのですが、どうしてもバスで行かなければならないわけではありません。

ちなみにキトラ古墳から飛鳥駅までは徒歩圏内(1.8キロ/25分)ですし、タクシーを利用しても850円ほどです。

Ruby
Ruby
「四神の館」はおすすめスポットですが、150分はさすがに長すぎる!片道だけフリー乗車券が使えればラッキーだと思ってくださいね。
事業所名かしはら観光インフォメーションセンター神宮前
所在地奈良県橿原市久米町652-2 橿原市商工経済会館1階
電話番号0744-27-2070
営業時間9:00~17:30(手荷物一時預かりの受付時間は15:30まで)
定休日なし
アクセス近鉄橿原神宮前駅東口から徒歩約3分
公式サイトhttp://www.kashihara-kanko.or.jp/
事業所名飛鳥総合案内所「飛鳥びとの館」
所在地奈良県高市郡明日香村越6-2
電話番号0744-54-3240
営業時間8:30~17:00
定休日なし
アクセス近鉄飛鳥駅すぐ
公式サイトhttps://michinoeki.asukamura.net/index.html

『石舞台古墳』は蘇我 馬子のお墓?

特別史跡・石舞台古墳説明看板

「かしはら観光インフォメーションセンター神宮前」で、一日フリー乗車券を購入した私たちは、10時36分のバスに飛び乗り、石舞台へと向かいました。到着時刻は11時1分。

昨今のコロナ事情から「公共交通機関のなかではあまり会話をしてはいけない」ことになっていますが、年配の方のグループが和気あいあいとお話されていて、少しホッとした気分に♡

石舞台古墳には、子どもの頃は無料で入っていたような記憶がありますが、現在の拝観料は300円になっていました。

石舞台古墳全景

この日は、あいにくの曇り空でしたが、新緑の緑と桜吹雪のピンクがとても綺麗でした。

『石舞台古墳』は、7世紀の初めころに築造されたとされる「方墳」または「上円下方墳」です。

私たちが「石舞台」と呼んでいるものは、横穴式石室の部分です。早くから石室を覆っていた盛土はなく、7.7tほどの巨大な天井石が露出していたそうです。

Ruby
Ruby
「古墳」というからには、有力者のお墓なんですよね。このように石室がむき出しになっているのは不思議な話です。

なお、石舞台古墳の被葬者は、蘇我 馬子だという説が有力です。

昔この一帯は「桃原(ももはら)」と呼ばれていました。日本書紀に「推古天皇三十四年五月二十日(西暦626年6月19日または20日)、大臣(蘇我 馬子)が亡くなったため、桃原墓に葬った」と記されており、この「桃原墓」が、「石舞台古墳」なのではないかといわれています。

蘇我 馬子は、645年に起こった「乙巳の変(いっしのへん)」において、中大兄皇子・中臣鎌足らに暗殺された蘇我 入鹿の祖父です。

桜と石舞台古墳

この「乙巳の変」により、蘇我氏は歴史の舞台から完全に姿を消すことになりますが、巨大な石室を見れば、「蘇我 馬子の時代こそが蘇我氏の全盛期だった」ということがよくわかりますね。

石舞台

1933(昭和8)年から本科的な調査が実施され、墳丘は一辺約55m。横穴式石室(石舞台と呼んでいるもの)の玄室(墓室)の長さは約7.8m、高さ4.7m。大小30個以上もの花崗岩が使用されており、総重量は約2,300tということが判明しました。

石舞台の内側から現在石舞台の上には登れませんが、中には入ることができます。中はひんやりとしていて、隙間から陽光が差し込んでいました。

ちなみに、石舞台の名前の由来は、「昔、狐が女性に化けて石の上で舞を見せた」という説や、「この地にやってきた旅芸人が、この大石を舞台として使った」という説があるそうです。

石舞台の作り方仮説

私も子供の頃は、宇宙人の関与を疑っていたのですが、「石舞台古墳の作り方」には有力な仮設もあるようです。

私はイラストを見ても少しイメージしにくいのですが、みなさんはいかがですか?

人間はコンピューターなどない方が、逆に知恵がまわったりするものですから、現代人が決して想像できないような驚くべき方法で作られたのかもしれませんね。

石舞台古墳は、こうしてつくられたと考えられています。

  1. 右側の土嚢(どのう)を順に外し、重りとバランスをとって、だんだん巨石を浮かす
  2. てこ、ころ、ろくろ、滑車などを利用して運ぶ
  3. 石を立てながら土を詰め込んでまっすぐにする
  4. 天井石を置いてから内部の土を取り除き、封土で覆い壕を掘り、上部を小石で葺いて完成する

復元された石棺

復元石棺の説明看板 復元石棺

石舞台(石室)のなかに石棺は見つかりませんでしたが、平らに加工した凝灰岩の破片が見つかったそうです。それをもとに復元したのが上の写真のレプリカです。

石室の上に盛土が残っていない理由は?

石舞台

高松塚古墳にしろキトラ古墳にしろ、通常古墳は、石室の上に土がかけられ、小山のようになっているのですが、石舞台古墳だけは大きな石がむき出しになっていますよね。

蘇我氏は「乙巳の変(いっしのへん)」により滅亡するのですが、その後、「蘇我一族に恨みを持っていた人々が、盛土を剥がして古墳を荒らしたのではないか」といわれています。

645年の「乙巳の変」から701年の「大宝律令の完成」までの一連の国政改革を「大化の改新」といいます。

どちらかといえば「乙巳の変」より「大化の改新」の方が有名ですよね。子どもの頃、『虫も殺さぬ大化の改新ー645年』と歴史の年表を暗記した人も多いかと思います。

「日本」という国号や、「天皇」という称号の使用が始まったのもこの頃で、日本で初めての元号は「大化」でした。

スポット名石舞台古墳
住所奈良県高市郡明日香村大字真弓1042
電話番号0744-54-4577
拝観料大人(大学生以上)300円/小人(小中高生)100円
拝観時間8:30~17:00(受付16:45)年中無休
交通アクセス橿原神宮前駅東口からバスで25分/飛鳥駅からバスで15分(それぞれ1時間に1本)
備考石舞台古墳、亀形石造物、高松塚壁画館の3館共通券は700円

農村レストラン『夢市茶屋』では、古代米とヘルシーなお料理が楽しめる!

夢市茶屋の古代米御膳

「石舞台古墳」と原っぱの間にあるレストランは「農村レストラン夢市茶屋」といいます。

1階では採れたての野菜やお菓子、古代米、飛鳥米等のお土産を販売し、2階は木を多用した明るい雰囲気のレストランになっています。

お会計は前払い制。写真は明日香の食材を使った「古代米御膳(3月上旬~12月上旬頃に提供)」です。12月上旬~2月末頃の冬場は牛乳鍋の「飛鳥鍋御膳」が楽しめ、どちらも1,250円(税込)。

観光スポットの真横のレストランということで、ドライブインのような簡単な食事を想像していたのですが、「夢市茶屋」のランチはとても手が込んでいて美味しかったです。

呉豆腐(ごどうふ/豆乳と吉野くずの豆腐)も滑らかな舌触りで絶品でした。イチゴはもちろん「飛鳥ルビー」です。メインは、甘酸っぱい油淋鶏。これが古代米によく合う!

ほかには、黒米カレー(3月上旬~12月上旬頃)や古代米のおにぎり、飛鳥こんにゃく棒、あすかルビー(イチゴ)のケーキなど、明日香でしか食べられないようなものもありました。

ちなみに全席禁煙で、クレジットカードは使えないようです。

石舞台古墳近辺
名称夢市茶屋
住所奈良県高市郡明日香村島庄154-3
電話番号0744-54-9450
営業時間(平日)11:00~16:00(土日祝)11:00~17:00
定休日年末年始以外は無休

明日香(飛鳥)レポート①では、旅行者に便利な周遊バス(亀バス)と石舞台古墳を中心にご紹介しました。

ランチを食べなければ1時間後、食べれば2時間後にやってくる「亀バス」を利用して、次の目的地(岡寺)に向かおうとしたのですが、やっぱり乗り遅れてしまいました。

「岡寺」まで歩くことになったのですが、「岡寺前」のバス停から「岡寺」までは、徒歩で10分もあることが後で判明し、「歩いて正解」でした。

次は、岡寺~飛鳥寺(飛鳥大仏)のレポートをしますね。