首都圏連続不審死事件の木嶋 佳苗、鳥取連続不審死事件の上田 美由紀、関西青酸連続死事件の筧 千佐子(かけひ ちさこ)、3人の女性連続殺人犯がどのようなテクニックを使って大勢の男性を騙したのかを考察することで、「どのような異性が危険なのか」を検証してみたいと思います。
初回は、木嶋 佳苗(1974.11.27~)の半生にスポットを当ててみたいと思います。
木嶋 佳苗、上田 美由紀、筧 千佐子の事件とは?
すでに3名とも死刑が確定していますが、事件発覚からすでに10年前後経っていますので、どのような事件だったのかおさらいしてみましょう。
木嶋 佳苗 | 上田 美由紀 | 筧 千佐子 | |
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生年月日 | 1974.11.27 | 1973.12.? | 1946.11.28 |
事件名 | 首都圏連続不審死事件 | 鳥取連続不審死事件 | 関西青酸連続死事件 |
兄弟姉妹 | 弟1人妹2人の長女 | 兄1人 | 未婚の母のもとに生まれ、すぐに養女に |
出身地 | 北海道中標津町 | 鳥取県倉吉市 | 長崎県長崎市 |
逮捕前の職業 | デートクラブ嬢など | スナックのホステスなど | 銀行員など |
事件の発生年 | 2007~2009年 | 2004~2009年 | 2007~2013年 |
凶器 | 睡眠薬→練炭 | 睡眠薬→溺死 | 青酸化合物 |
被害者の数(殺人のみ) | 3名(不審死合計6名) | 2名(不審死合計6名) | 3名(不審死合計10名以上) |
被害総額 | 1億円以上 | 約1200万円 | 8~10億円以上 |
被害者の傾向 | 40代~50代の婚活独身男性と高齢男性 | 20代~50代のさまざまな職業の男性(既婚者含む) | 70代を中心とする高齢の婚活男性 |
被害者との接点 | インターネットの婚活サイト | スナックのホステスと客 | 結婚相談所 |
犯行目的の傾向 | 結婚詐欺のもみ消し? | 金銭トラブル | 遺産狙い |
結婚歴 | 3回(すべて獄中) | 2回(離婚2回) | 5回? |
子ども | なし | 3女2男 | 1男1女 |
被害者は男性ばかりで、ほとんどが交際相手(筧は結婚相手)でした。木嶋と上田には、詐欺や窃盗、万引きなどの多数の余罪もあります。
「木嶋 佳苗」の半生
「木嶋 佳苗」は優等生なのか?不良少女なのか?
木嶋 佳苗は、1974年11月27日、北海道東部の中標津町(なかしべつちょう)で誕生し、小学4年生で隣町の別海町に転居しました。そして高校を卒業し上京するまで、この別海町で過ごしました。
父親は行政書士、母親はピアノ講師、祖父は町議会議員を10期に渡り務めた地元の名士という恵まれた家庭に育った佳苗は、一見優等生のようにみえました。
木嶋家は非常に教育熱心な家庭でテレビを置かず、佳苗は読書をしたりピアノを弾いたりして過ごし、成績も非常に良かったようです。
けれども、『別海から来た女』(佐野眞一著/講談社)によると、一家は佳苗が小学生の頃から、彼女の盗癖に頭を悩ませていたそうです。
地元の公立高校に入学した佳苗は、ボランティアサークルの部長を務めるなど、ここでも一見優等生にみえました。
ですが、高校二年生のときには、交際していた40代の男性の指示で、前回と同じピアノ教師の家から、ふたたび預金通帳と印鑑を盗み出し、今度は700万円以上のお金を実際に引き出してしまいました。
この事件により佳苗は、家庭裁判所で保護観察処分になりました。
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一見、非の打ち所がない良家に見える木嶋家ですが、両親の不仲は佳苗が小学校高学年の頃から始まっており、佳苗も厳しすぎる母親と離れるため、高校は西春別の母親の実家から通っていたそうです。
佳苗の父親は、彼女が31歳だった2005年に自動車事故で亡くなったとされていますが、車の中からは練炭が発見されたそうです。
当然、父親の死因は自殺ではないのかとも疑われており、保険金も支払われていないそうです。
ちなみに、佳苗は2003年にネットオークションの詐欺で逮捕されており、父親の死は彼女の帰省中に発生しています。
父親のお墓は、佳苗が東京の浅草に建てたということなので、非常に複雑な家族関係が見て取れますね。
ファーストフードの店員から売れっ子デートクラブ嬢へ
1993年に高校を卒業した木嶋佳苗は、大学の夜間部に進学するも、実家からの仕送りを使い込み、学費滞納で退学処分になり、ファーストフードのチェーン店に就職します。
派手で見栄を張るタイプの佳苗が、お給料の安い昼間の仕事を長く続けられるはずはなく、このファーストフード店は3か月の研修期間中に辞めてしまいました。
1994年には、デートクラブにスカウトされ、2001年までの7年間に、20数人の男性と愛人契約を結び、月に150万円も荒稼ぎしていたそうです。
本人いわく「客は企業の役員や会社経営者、学者、医師、弁護士など社会的な地位の高い人ばかりだった」そうですが、こんなことにまで見栄を張っているのかもしれません。
ただ、中学生の頃から援助交際の噂があり、高校時代には40代の男性と交際するような少女だったので、年上の男性と交際してお金をもらうことには、なんら抵抗がなかったのは事実でしょう。
交際相手には「ピアノ講師」だと自称することが多かったようですが、佳苗の部屋にはピアノがありませんでした。
やめられない犯罪
小学生の頃から手癖の悪かった木嶋 佳苗ですが、成人した後も盗癖はなおらず、ネットオークション詐欺では10名もの被害者を出し、懲役2年6ヶ月執行猶予5年の刑を科されています。
- 1999年1月(24歳)化粧品を万引きし検挙
- 2000年3月(25歳)書籍を万引きし検挙
- 2001年3月(26歳)現金窃盗容疑で検挙
- 2003年3月(28歳)ネットオークション詐欺で検挙
まだまだ隠れた余罪がありそうですね。
佳苗は、2005年あたりから不眠をうったえ、2007年以降は、睡眠導入剤を通院1回につき2週間分処方されていました。
多いときは月に2回通院し、自分に処方された薬を被害者の男性の食べ物などに混ぜていたようです。
約1億円を支援させた男性の変死
2007年に変死した70歳(当時)の男性Aさんから木嶋 佳苗には、1億円近くのお金が渡っていたとされます。
この男性はリサイクルショップの経営者で、浴室で口から泡を吹いて亡くなっていたそうです。近所の主婦によると「元気だったのに突然亡くなったので驚いた」ということです。
この男性と佳苗が知り合ったのは、2001年6月。ケンブリッジ大学への音楽留学の資金を援助してくれる人をネットで募集していたときに、名乗り出た人でした。
佳苗の話を信じるとすれば、男性とは男女の関係ではなく、佳苗は男性を父親のように慕い、男性も「息子の嫁に」というほど、彼女を可愛がっていたそうです。
週1、2回、家事を手伝うだけで、この男性から7,000万円とも1億ともされる金銭を受け取っています。
彼女を支援していた男性が突然変死する…ほかの事件と同様、この事件も非常に怪しいのですが、千葉県警は「事件性なし」と判断し、立件は見送られました。
高齢の男性への巧みなアプローチ
木嶋 佳苗は高校時代から、ボランティアサークルに所属し、老人ホームや障がい者施設でボランティア活動をしていました。
お年寄りにはとても親切で、同じサークルの仲間のなかには、お年寄りの手を引き優しく介護する彼女の記憶が鮮明に残っている人もいたようで、佳苗は「援助交際をする不良少女」と、「ボランティア活動に励む良家の子女」、まさに二つの顔を併せ持つ女性のようです。
2009年5月に焼死した80代の男性Bさんは、事件の10年以上前に妻に先立たれ、インターネットで介護ヘルパーを探していたところ、木嶋 佳苗が連絡をしてきたそうです。
息子さんは当初、ヘビースモーカーだった父親が煙草の火の不始末から火事を出したものだとばかり思っていたようですが、司法解剖により睡眠薬を飲んでいたことがわかりました。
現場には七輪が残されており、火災当日に、男性の口座から現金約180万円が引き出されていたそうです。
佳苗はこの日の出来事を「サスペンスドラマにような一日でした」と他人事のようにブログに投稿しています。
Bさんの父親は、塗り重ねた水彩絵の具を刀で削る「刀画(とうが)」の技法を確立した著名な画家で、佳苗は作品を少しずつ持ち出しては、富裕層の知人女性やその夫らに相場の数分の一という安値で売り飛ばしていたのですが、Bさんは彼女を疑わず、親せきを疑っていたそうです。
大人しく温厚な中年男性たちの不審死
2009年2月には53歳のCさん、2010年8月には41歳のDさんが、練炭自殺を偽装し、殺害されました。
どちらも木嶋佳苗の交際相手で、佳苗とは婚活サイトで知り合ったということです。
年齢も年齢なので、焦る気持ちもあったのでしょう。結婚をエサにCさんからは約1700万円、Dさんからは約500万円を詐取していました。
この二人だけではなく、婚活サイトで知り合った30代~50代の男性に、大学院生、ピアノ講師、フードコーディネータなどと身分を偽り、大学院の学費や3か月で70万円もする料理教室の授業料の支援の名目で、結婚詐欺を働いていました。
その一方、佳苗は、家賃22万円のマンションに住み、カーネリアンレッドのベンツを乗り回し、「かなえキッチン」というブログで、高級食材を使ったレシピやお取り寄せグルメを紹介し、セレブぶりをアピールしていました。
ブログの8割が食に関する記事で、とくに千疋屋総本店のパフェがお気に入りだったようです。
ある方の計算では、1日の食費が1万円を超える日が続き、摂取カロリーも推定3,000キロカロリーを超えていたそうです。
「佳苗さんを好きになることは、宗教を信仰することと一緒」だという53歳の男性
こんな贅沢三昧の女性を経済援助する心境はよくわかりませんが、出会ってすぐに料理学校の授業料61万円を要求されたCさんは、「佳苗さんを好きになることは、宗教を信仰することと一緒」と言って支払ったそうです。
そしてその1か月後には80万円以上するカルティエのブレスレットを婚約指輪代わりに贈りましたが、佳苗はCさんのことを「無口でコミュニケーションがとれない」と、嫌悪感をあらわにしています。
佳苗によると、2009年1月30日、別れを告げられたCさんは、泣きながら現金400万円の札束と1,000万円ほど入った貯金通帳を差し出し、「佳苗さんのために用意したので使ってください」と言ったそうです。
Cさんは翌日の31日、しちりん6個に囲まれて自宅で一酸化炭素中毒死しました。発見されたのは2月4日でした。
婚前旅行の日に殺害された41歳の男性
2009年8月6日には、木嶋 佳苗と交際していた41歳の男性Dさんが、駐車場に停められた車の中から冷たくなった状態で発見されています。死因はCさんと同じ一酸化炭素による中毒死でした。
Dさんは母親に、佳苗は料理の達人でフランス料理もコース仕立てで出てくると自慢し、自身のブログにも婚約中の喜びを綴っていました。
実は41歳のトマちゃんは婚活中でしてwつか今日相手のご家族と会うのです。ここ最近ずっと相手と新居を探したり新生活のことを話し合ってるんです。今夜から2泊3日で相手と婚前旅行に行きます。結婚したらしばらく模型は無理でしょうけど、パワーアップしていつか必ず復活しますよ(被害男性Dさんのブログより)
Dさんの「ジオラマ」は趣味の域を超える腕前で、コンテストでは賞を取るなど、その世界では有名人でした。
趣味はプラモデル、不動産の家賃収入で暮らしていたDさんは、女性との接点があまりなかったのでしょう。
そんなDさんには「私も早くDさんと幸せになりたいです。Dさんはハンサムなので、子供ができてもきっと可愛いだろうなとウキウキしています」といった見え透いたお世辞のメールを送り、500万円もの大金を結婚資金と称してだまし取っています。
Dさんは、婚前旅行に出かけた翌日の8月6日に、練炭がたかれたレンタカーの中から冷たくなった状態で発見されます。
死因は一酸化炭素中毒で、体内からは佳苗が処方されていた睡眠導入剤とアルコール、胃にはビーフシチューが残っていました。
おそらく、婚活サイトで知り合った男性にお金を出させた後、結婚の話が具体化すれば、殺害していたのではないでしょうか。
婚活サイトを利用し、婚活中の男性と出会っているのだから、このような展開になるのは、当たり前のことなのですが、彼女の頭は常人とはまったく違う思考回路なのでしょう。
次々に騙される婚活男性たち
佳苗は「男性に癒しや活力を与えることが、仕事と感じるようになり、(それが)一般の女性にできないことなら、受け取る報酬は正当で当然と思うようになった」
「自分には特別な性的魅力があり、そのために男性からお金を受け取るのが当然で、金銭は騙し取ったのではない。いただいたのだ」と常人には理解しがたい持論を展開していました。
そして、ネット上でのやり取りの段階で早々と金銭を要求し、いとも簡単に大勢の男性たちが騙されました。
佳苗によると、交際が始まる前にお金の話をする理由は、自分の価値観を事前に話しておくためで、必ずしもそれが普通の価値観ではないとわかっているそうです。
Dさんを殺害後はさすがに警察に目を付けられ、24時間体制で警察の監視がつく身になるのですが、すぐに婚活サイトで「お嫁さんにして下さる方」「早く会える方」を物色し、一戸建ての家を持つ40代の男性Eさんと知り合います。
Eさんは金銭的に余裕のある男性で、マンションの違約金やクレジットローンも自分が支払うと約束し、2009年9月19日には、Eさん宅に居候することに成功します。
Eさんに警察の尾行のことを「支援してくれていた方が急死して、警察に疑われている」と説明したところ、「刑事ドラマのようだね」「ぼくが守ってあげる」「ずっと家にいていいよ」と言ったそうです。
にもかかわらず、佳苗はEさんのことを「異性としての魅力を感じたことはない」と言い放っているのですが、Eさんは約450万円ものお金を渡していました。
そんな佳苗もついに9月25日、このEさん宅から任意同行の上、逮捕されることになります。
佳苗の逮捕後Eさんは、家の中の火災報知器がすべて取り外されていたことに気付きます。
佳苗は9月23日に、ネットで練炭としちりんを注文しており、逮捕されなければEさんが次のターゲットになっていたことは間違いないでしょう。
唯一被害に合わなかった本命?男性Sさん
木嶋 佳苗は2007年ごろから年に4~5回、毎回同じ男性と福島県の裏磐梯に旅行していました。
レストランやカフェのお勘定は佳苗が支払い、男性が釣りに行くのをお茶を飲みながら、しおらしく待っている姿も見かけられたそうです。
この男性の話は「裏磐梯、バス釣り、自然、車、写真、ゴルフ。すべてSさんがその素晴らしさ、楽しさを教えてくれました」「十年来の心の友」「私の人生において、私を一番泣かせた相手」と佳苗のブログにたびたび登場しています。
2009年7月18から21日にも裏磐梯を旅行し、旅先からDさんあてにメールを送り、Dさんの遺体が見つかった3日後には、裏磐梯へ旅行した記事をブログにアップしていました。
このSさん、第4回公判の証人尋問によばれ、出会ったときに佳苗から自分は「吉川 桜」だと聞かされた。この名前をずっと本名であると信じていた、自分はピアノ教師で、父親は弁護士、母親は実業家だと聞かされていたと証言しました。Sさんはいずれ佳苗と結婚しようと考えていたそうです。
Sさんは佳苗が唯一金銭を要求しなかった男性で、おそらく本命の男性だったのでしょうが、高校生の頃から始まった援助交際、詐欺、窃盗を続けてきた佳苗は、この男性とは絶対に結婚できないとわかっていたのでしょう。
3度の獄中結婚
獄中にいる佳苗からお金を騙し取られたり、殺害される心配もない代わりに、木嶋 佳苗の作る美味しいフランス料理やケーキも食べることができません。
それでもやはり彼女に惹かれ結婚したいと考える男性はいます。しかも3人も!
佳苗は刑務所内でも、ブログの更新を続けていました。ブログの名前は「木嶋 佳苗の拘置所日記」。
2018年5月10日以降更新されていませんが、ほとんどが、佳苗の直筆を画像やpdfにして貼り付けています。
獄中での最初のお相手は、不動産会社に勤務する60代の男性Fさんで、佳苗のブログ読者でした。
文通を繰り返し、彼女の方から告白し、2015年3月に結婚しています。
ところが、この男性が交通事故を起こし、佳苗に経済的な支援ができなくなってしまい、2016年9月に離婚しました。
その年のうちに、逮捕前から知り合いだった男性Gさん(本命のSさんとは別の人)と再婚、そしてほどなく離婚。
この男性と離婚した理由は不明ですが、2019年4月24日には、『週刊新潮』(新潮社)のデスクの男性Hさんと3度目の獄中結婚をしたと、ライバル誌の『週刊文春』が報じました。
Hさんは、「余命を諦めた『木嶋 佳苗』の東京拘置所から愛をこめて」という記事の担当記者でした。
社内でも敏腕デスクと評判の40代の男性で、「拘置所日記」では、イケメンの「王子」としてたびたび登場する人物でした。
職責をまっとうするために結婚したという説もありますが、当時のGさんは既婚者であり、離婚までして佳苗と結婚していますから、ほかの大勢の被害男性と同じような心境になって結婚を決意したのかもしれませんね。
彼女の記事を手がけた後、死刑が確定するという流れがあって、取材者と被取材者の関係を超えて思いが募ったということです。相手をもっと知りたいと思った時に、手段として結婚の形をとる方向に傾いていったのです。今も悪くない関係だと思いますし、結婚に後悔はありません。(彼女との結婚は)私が独断でやったことであり、今後彼女について記事を書くこと基本的にはないと思います(週刊文春のインタビューより)
フリージャーナリストの八木秀和さんにも佳苗から結婚の誘いがあり、「旦那になってもらうと、差し入れの量や質が全然違うの」と語ったそうなので、Gさんは純愛でも、佳苗の方には多少の損得勘定があるのかもしれません。
木嶋 佳苗と母親との関係
木嶋 佳苗の母親はピアノ講師で、PTAや婦人会の役員を務める積極的な女性だったようですが、長女の佳苗には非常に厳しく、ときには手を上げることもあったようです。
一審で死刑判決が下されても「すぐ死刑になるわけじゃない。裁判はまだ続くから5年や10年は大丈夫」と平然と言い放っていたそうですが、裁判員裁判の一審判決言い渡し直後から、ブログ「拘置所日記」や自叙伝のなかに描かれている赤裸々な性的描写を非常に嫌がり、執筆をやめ出版社と縁を断たなければ一切の支援を打ち切ると宣言し、言うことを聞かなかった佳苗に立腹し、完全に縁を切ったそうです。
これに絶望した佳苗は、死刑の早期執行の要請をしようと決意したそうです。
生みの母が私の生命を否定している以上、確定後に私は法相に対し、早期執行の要請をします。これこそ「ある決意」に他なりません。(週刊新潮4月20日号)
死刑確定後に、死刑囚本人が「早期執行」を要請した場合は、たいてい聞き入れられ、池田小事件の宅間守元死刑囚も1年後に執行されました。
私の父は妻である母に心を蝕まれた結果、還暦で自死を選びました。私が30歳のときです。4人の子ども達に残された遺言状を見るまで父の懊悩や2人の不仲など知る由もなかったし、限界まで追い詰められていたことに気付けなかった4人は遺骸の前で慟哭するほかなかった。母は父の親族から葬儀の喪主になることを許されなかったほどです。(週刊新潮4月20日号)
佳苗は、事故死として処理された父親の死は実際には「自死」であり、その責任は母親にあると考えているようです。
木嶋 佳苗を「良心を持たない人(サイコパス)」だと片づけてしまうのは簡単ですが、幼少期からの母親との複雑な関係が、このような屈折した性格を形成したのかもしれません。
あるいは、「父親の心を蝕み続けた鬼のような母親」というのは、佳苗がプロデュースした「架空の母親」なのかもしれません。
木嶋 佳苗の魅力
大量の被害者を出していますので、不謹慎かとも思いますが、男性たちを手玉に取った木嶋 佳苗の魅力とはどういう点なのでしょうか。
- 鈴が鳴るようなソプラノ声
- 文才がある
- 達筆
- 頭の良さと育ちの良さがにじみ出る丁寧な話し方
- (ターゲットの男性に対しては)褒め上手
マスコミで取り上げられている数枚の写真からは想像できないほど、実際の木嶋 佳苗は、驚くほど上品でエレガントだそうです。
自伝的小説『礼讃』(角川書店)をプロデュースしたフリージャーナリストの八木 秀和さんも、彼女の印象を「控えめで品の良い女性」だと述べています。
婚活サイトのプロフィール文を見てみましょう。
・おいしい手作り料理で愛情を伝えたいです。スキンシップを大切にして末永く心から愛し合って尊敬できる伴侶を探しています。
・四人兄弟の長女です。本当に運命の人に出会えたら、電撃的な結婚もあると思っています。遊び友達や、長く付き合える彼女をお探しの方はご遠慮下さい。
・私は外見には自信はありませんが、今まで真面目に生きてきたということに関しては自信はあります。内面は磨いてきました。仕事も勉強も一生懸命です。男性なら誰でもいいとは思っていません。(婚活サイトのプロフィール)
- 婚活に対する真摯さをアピール
- 自分は料理上手だとさりげなくアピール
- 外面より内面の魅力をアピール
- 同時に男性のプライドも満足させる
100点満点のプロフィールではないでしょうか。
ちなみに高校時代はソプラノボイスではなかったそうで、今でも都合の悪いことを尋ねられると、低い声で「違います」と否定するそうです。
「鈴の鳴るような美しい声」も天性のものではなく、ボイストレーニングによって得たものだと考えられます。
今回は、「女性犯罪者たちから「危険な異性」を見破るコツを考察」の第一弾、「木嶋 佳苗」を考察してみました。
木嶋 佳苗はサイコパスなのか、愛を知らない哀しい女性なのか…どちらなのでしょうか。
被害に合われ命を失った男性たちは、「知的で上品、そのうえ料理上手な世界一の女性と恋をしている」と思いながら亡くなられたのかもしれませんが、だとするとあまりにも不憫です。
(少なくとも)6名の男性のご冥福を心からお祈り申し上げます。